「米国株に投資したいけど、S&P500やNASDAQはすでに高値だし…小型株は値動きが激しくて不安。」
そんな悩みを抱える20代・30代の投資家は少なくありません。
特に、資産形成のスタートを切ったばかりの世代にとっては、成長性のある米国小型株に挑戦したい気持ちと、安定した高配当収入を得たいニーズが同時に存在します。
そこで注目されているのが、ProShares Russell 2000 High Income ETF(ITWO ETF)です。
2024年9月に登場したばかりのこのETFは、米国小型株(Russell 2000)をベースに、日次カバードコール戦略を取り入れることで、従来の高配当ETFにはない「安定した月次配当」を実現しています。
この記事では、ITWO ETFの仕組み・メリットとデメリット・配当利回り・リスク・他の高配当ETFとの比較・NISAでの活用方法まで徹底解説。初心者でも理解しやすく、投資判断に役立つ情報をまとめました。
この記事でわかること
- ITWO ETFの基本情報と投資戦略
- 日次カバードコール戦略が生み出す高配当の仕組み
- 配当利回りや最新パフォーマンスの実績
- 投資家が知っておくべきメリット・デメリットとリスク
要約
ITWO ETFは「米国小型株の成長性」と「高配当収入」を同時に狙える新しいETFです。
配当利回りは13〜17%と非常に高く、月次で安定した分配金を得られるのが大きな魅力。
一方で、小型株特有のボラティリティや、カバードコール戦略による上昇余地の制限もあるため、リスクを理解した上で投資判断を下す必要があります。
ITWO ETFとは?基本情報と概要
ITWO(ProShares Russell 2000 High Income ETF)は、米国小型株市場に投資しながら、高い配当収入を目指すETFです。以下は基本情報です。
- ティッカー: ITWO
- 運用会社: ProShares
- 上場取引所: Cboe BZX Exchange
- 設定日: 2024年9月4日
- 資産総額 (AUM): 約5,707万米ドル(2025年8月時点)
- 経費率: 0.55%
- ベンチマーク: Cboe Russell 2000 Daily Covered Call Index
- 投資対象: 米国小型株(Russell 2000指数)+日次カバードコール戦略
ITWOは、小型株の成長性とカバードコールによる安定した配当収入を組み合わせたユニークなETFです。
特に、日次でのオプション売却戦略を採用することで、従来の月次カバードコールETFとは一線を画します。
ITWOの投資戦略:小型株+日次カバードコールの魅力
ITWOの運用戦略は、以下の2つの柱で構成されています。
1. Russell 2000指数への投資
- Russell 2000指数は、米国の小型株約2,000銘柄で構成される指数です。小型株は成長性が高い一方、価格変動(ボラティリティ)も大きい特徴があります。
- ITWOは、この指数に連動するポートフォリオを構築し、小型株市場の成長を捉えます。
2. 日次カバードコール戦略
- カバードコールとは、保有する株式に対してコールオプションを売却し、プレミアム収入を得る戦略です。株価の上昇余地を一部犠牲にする代わりに、安定したキャッシュフローを確保します。
- ITWOは日次でコールオプションを売却。月次戦略と異なり、短期的な市場変動を捉え、プレミアム収入を頻繁に獲得します。
- スワップ契約(デリバティブ)を活用し、オプション売却の効果を効率的に再現。
ポイント: 日次戦略により、市場の変動に対応しやすく、配当収入の安定性が向上します。
ITWOのパフォーマンスと価格動向
2025年8月時点の最新データに基づくパフォーマンスは以下の通りです
- 最新株価: 36.85米ドル(1日で+1.92%)
- 純資産価値 (NAV): 36.69米ドル(1ヶ月で-1.38%)
- パフォーマンス:
- 1ヶ月: -1.53%(価格)/ -1.38%(NAV)
- 3ヶ月: +11.14%(NAV)
- 1年: +2.59%(NAV)
- 資金流入:
- 1ヶ月: 918万米ドル
- 3ヶ月: 832万米ドル
- 1年: 5,934万米ドル
- プレミアム/ディスカウント: NAVに対し0.05%のプレミアムで取引
分析: 短期的な下落(1ヶ月で-1.53%)が見られるものの、3ヶ月では+11.14%と堅調。
資金流入が安定しており、投資家の関心が高い。小型株のボラティリティを考慮すると、短期変動は避けられないが、長期的な成長と配当収入に期待。
高配当の魅力:ITWOの配当利回りと支払い頻度
ITWOの最大の魅力は、高い配当利回りです
- 配当利回り: 13.46%〜17.68%(データソースによる)
- 配当頻度: 月次
- 最新配当: 2025年6月2日基準で支払済み
- 特徴:
- 日次カバードコール戦略により、プレミアム収入を原資とした高配当を実現。
- 配当はインカムゲインから支払われ、キャピタルゲインや為替差益は分配対象外。これにより、純資産価値の成長をサポート。
投資家へのメリット:
- 月次配当は、安定したキャッシュフローを求める投資家に最適。
こちらは毎月配当のため、NISA・新NISAでは投資できない点は残念、、
保有銘柄と資産配分
- 資産構成: Russell 2000指数の約2,000銘柄に投資。
- セクター配分(参考値):
- 金融: 約17%
- ヘルスケア: 約15%
- インダストリアル: 約15%
- テクノロジー: 約14%
- 消費財: 約12%
- 地理的配分: 米国市場に特化。
- ESG評価: ESGスコアなし(ESG投資を重視する投資家には不向き)。
分析: 小型株は経済環境(例: 金利上昇)に敏感だが、分散投資によりリスクを軽減。カバードコール戦略はボラティリティの高い小型株市場での安定性を高めます。
ITWOのリスクと留意点
ITWOへの投資には以下のリスクが伴います
- 市場リスク: 小型株は大型株よりボラティリティが高く、経済環境の変化に敏感。
- カバードコールリスク: 上昇相場でリターンが制限される。これは、利益の上限をあらかじめ決めてしまう代わりに、安定したお小遣い(配当)をもらうといったイメージです。
- デリバティブリスク: スワップ契約に伴うカウンターパーティリスク。
- 非分散型ETF: 特定のセクターや銘柄への集中リスク。
- 流動性リスク: 新しいETF(2024年9月設定)のため、取引量が少ない可能性。
- 税務リスク: 米国での源泉徴収(10%)と日本での税金(20.315%)が適用。
ITWOのメリットとデメリット
メリット
- 高配当: 13.46%〜17.68%の配当利回りで、月次配当による安定収入。
- 分散投資: 約2,000銘柄への投資でリスク分散。
- 日次戦略: 市場変動に対応しやすく、プレミアム収入を最大化。
- 低コスト: 経費率0.55%は競争力あり。
デメリット
- 上昇相場の制限: カバードコールにより利益が制限される。
- 小型株のリスク: ボラティリティが高い。
- 新しいETF: 長期実績が不足。
- ESG非対応: ESG投資には不向き。
ITWOが適している投資家
ITWOは以下のような投資家に最適です:
- 高配当志向: 月次配当で安定収入を求める方。
- 小型株投資家: 米国小型株の成長性を活用したい方。
- 中長期投資家: 配当と成長のバランスを重視する方。
一方、短期トレーダーやESG重視の投資家、高成長のみを求める投資家には不向きです。
類似ETFとの比較
ITWOと類似のETFを比較します。
ティッカー | 対象指数 | 主な特徴 | 配当利回り (参考) | 経費率 |
---|---|---|---|---|
ITWO | Russell 2000 | 日次カバードコール | 13%〜17% | 0.55% |
RYLD | Russell 2000 | 月次カバードコール | 約12% | 0.60% |
QYLD | Nasdaq-100 | 月次カバードコール | 約12% | 0.60% |
XYLD | S&P 500 | 月次カバードコール | 約8% | 0.60% |
ITWOの強み: 日次戦略による高い配当と小型株の成長性。
シンプルに、米中小型株でのカバードコールETFは珍しく、そしてコストも相対的に低めなので「s&p500以外に分散投資したい人」にはおすすめ!
ITWOの投資方法と注意点
購入方法
- 取引所: Cboe BZX Exchange
- 日本の投資家: 楽天証券、SBI証券など米国株対応の証券会社で購入。
- 体験談: 私も今年の8月から、楽天証券でITWOに投資を始めました。S&P500やNASDAQ中心だったポートフォリオの分散投資の一環として、資産の5〜10%をITWOに割り当てる計画です。
- 最低投資金額: 1株(約3,700円〜5,000円、為替レートによる)。
- 注文方法: 指値注文または成行注文。
注意点
- 税務: 米国源泉徴収(10%)+日本での税金(20.315%)。
あとは現状、投資信託では対象になっておらずなので書いたい人は一度円をドル(USD)に変えてから投資しないといけない点はやや面倒ですね。
投資信託版も出てくれれば、円で投資できるので楽ちんになりますね。
まとめ:ITWO ETFは小型株の成長と高配当を両立する注目ETF
ProShares Russell 2000 High Income ETF(ITWO ETF)は、米国小型株の成長性と日次カバードコール戦略による高配当を同時に狙えるユニークなETFです。
配当利回りは13〜17%と非常に高く、月次配当で安定したインカムを得られる点は、資産形成を進めたい20代・30代の投資家にとって大きな魅力といえるでしょう。
もちろん、小型株特有のボラティリティや、カバードコール戦略による上昇余地の制限といったリスクは存在します。
さらに、毎月分配のためNISAを活用できず税制メリットを得られないのもやや難点です。
【毎月3万円ずつITWOに投資した場合のシミュレーション】
毎月3万円を投資し、年間配当利回りを仮に15%とすると、1年後には約54,000円の配当収入が見込めます。この配当を再投資することで、複利効果も期待できます。
👉 まとめると
- 米国小型株に投資しつつ、高配当収入を狙える
- 日次カバードコール戦略により配当が安定しやすい
- リスクを理解すれば、ポートフォリオの一部に組み込みやすい
ITWO ETFは、「高配当も成長も諦めたくない」という投資家にとって魅力的な選択肢です。今後の投資戦略に取り入れるかどうか、ぜひ一度検討してみてください。