デービッドアトキンソンさんの本を読むのはこれで2冊目になる。1冊目は『新・観光立国論』を興味深く読ませていただいた。
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新・所得倍増論
『新・所得倍増論』
著者:デービッドアトキンソン
出版社:東洋経済新報社
この本はどんな本か
この本は、デービッド氏の「新・・・シリーズ」の第二弾。一言で言ってしまえば、「日本のGDPをもっと増やすこと」に焦点を当てた本である。日本は高度経済成長を経て、日本は第2位の経済大国になった。
僕がこの本を読もうと思ったきっかけ
けれども日本のGDPは数年前に中国の抜かれ、現在は「世界第3位」である。日本は少子高齢化が加速し、日本社会全体を悲観論がおおっている。その中で日本のGDPを維持いや、倍増させると言うこの書籍のタイトルにとても惹かれた。
また以前読んだ、『新・観光立国論』が日本人以外の外からの視点で書かれた上に、著者独自の視点、意見にとても感銘を受けたためもう一度この著者の本を手に取った次第である。
つまり、僕が今回この本を読もうと思ったきっかけは以下の2つだ。
- 悲観論に覆われた日本をぶち壊す、強烈なタイトル
- 『新・観光立国論』がおもしろかったため
僕がこの本を読む際に意識したこと
それは以下の2つだ。
- どのようにすれば日本のGDPを上げられるのか
- GDPが上がっていない原因があるのだとしたらそれは何か
である。
この本が最も伝えたかったこと
それは「将来の日本は、明るい社会を実現できる」ということだ。
先ほども書いたが、日本は今、「少子高齢化問題」や「年金問題」、「日本の借金などの財政問題」などたくさんの課題を抱えている。人口減少のフェーズに入り、日本市場は成熟し多くの企業は海外進出や海外展開第一の企業も多いだろう。
とにかく悲観論が多い。その中でこの本は我々日本に住むこれからを生きる者たちにとって希望となる本となろう。
この本のあらすじ
ざっとこの本のあらすじを、僕なりにまとめてみた。間違いもあるかもしれないが、温かい目で見守っていただきたい。笑
- 第1章で、「日本の本当の現状をあらゆる角度から述べている。」観光の話し合ったり日本の労働生産性ノーベル賞受賞するから研究開発費まで幅広い。
- 第2章では、「日本のこれまでの話の問題点を述べている。その問題点とは、日本人が「高度経済成長による日本の急激な成長を美化しすぎている」ということだ。それが改善すべき課題を覆い隠してしまっていると著者は述べている。
- 第3章では、バブルがはじけた後の失われた20年で、日本と外国との成長スピードの差が生まれ、どれほど差が開いてしまったのか、データに基づいて詳しく述べている。
- 第4章では、「日本の戦後の高度経済成長の要因は、ただ人口が増えたことによるものだ。」という説明だ。技術が他国より高かったからでは決してない。
- 第5章では、日本人の生産性の低さについての問題点を、著者独自の目線で解説している。ただ課題を指摘するだけでなく、どうすれば改善して日本をよりよくもっと生産性が高くできるのかを説明した章だ。
- 第6章では、「日本の現行の社会制度」が、日本のGDP発展にどう影響しているのか述べている。問題点、良い所あらゆる点から述べている。
- 第7章では、いまだに高度成長の考え方を引きずり、それが正しいのだと頑なに変えようとしない、現状維持しがちな問題について述べている
- 第8章では、「政府が目指す方向性」と「経営者が目指す方向性」にズレが生じているためそのズレをいかに調整し、同じ歩幅で同じ目標に向かって歩けるかを解説した章だ
- 第9章では、これまで指摘してきた問題を具体的にどのように解決していくのかという方法論を記した。この本の集大成章である。
著者は、日本を愛するが故に日本と日本人に向けて愛のムチを叩いている。
僕がこの本を読んで最も驚いたこと
それは先進国のGDPランキングは、98%人口要因で説明できるということだ。
今までの僕の価値観では、GDPは各国の経済の成熟度、いわゆる「労働者一人ひとりの質」と「ロボットなどの質や資本力」が掛け合わされた総合力だと思っていた。けれども、それは幻想だったのである。
デービット氏の研究結果によると、先進国であればあるほど、GDPの要因は「人口の大小に大きく影響される」ということである。途上国の中には、インドなど人口が多い国もあるが、技術力がないため生産性やGDPは低い。あくまで先進国に限った話だ。
このような事実を、この本を読んで僕は初めて知った。そして日本が世界第2位の経済大国になったのも、単純にほぼ人口の大きさによって達成されたものだと説明できるということだ。僕はいつの間にか日本は労働者一人ひとりの質がとても高く、「ものづくり大国」であると勘違いしていた。
確かに日本の製造業は、技術力がトップクラスだろう。けれども他の産業で見ると、日本は全然いや、製造業でさえも、1部の優秀な企業だけなのかもしれない。1部の世界に名の知れた少数の企業によって、「日本は技術大国」という価値観に染まっているだけなのだろう。
おわりに
僕たちは本当に、「思い込み」の中で生きているんだと強く感じた。思い込みの世界で生きることも確かにありだろう。知らないほうが人生幸せだったということは、この世の中にはたくさんあるのだろうと思う。
何かにすがりつかなければ、生きていけない人も大勢いるだろう。死んでしまうなら、思い込みの中で生きていたほうが絶対に正しい。
でも1番問題なのは、自分が「思い込みの中で生きている」と人は認識しにくいということだと思う。気づくには、自分の信じた世界を疑う必要がある。それは苦痛を伴うこともあるだろう。けれどもそれを行わなければ、永遠に同じままだ。
苦痛を受け入れる覚悟が、あなたにはあるだろうか。